「sdgs」という言葉を耳にしたり、見かけたりする機会が増えたと感じている人もいるのではないでしょうか。さまざまな国で意識的に行われているsdgsを個人で取り組もうとした場合、何ができるだろうと悩む声も少なくないようです。そこで、この記事ではsdgsの目標を達成するために、個人でどのようなことができるのかについて解説します。
そもそもsdgsとは?
2015年に開催された国連サミットにおいて、2030年までに取り組むべき世界共通の目標として定められた「sdgs」。sdgsについては、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されています。「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の頭文字をとっており、世界中の人すべてが持続的でより良い社会で暮らしていけることが目標です。すでに2001年にはmdgs(ミレニアム開発目標)が策定されており、sdgsはその後継的なものになっています。ちなみに、mdgsは2001年~2015年における開発目標で、21のターゲット・8つのゴールという構成でした。また、mdgsは開発途上国向けの目標が多かったですが、sdgsは先進国・開発途上国を問わず、世界中の国が取り組むべき普遍的な目標となっています。
sdgsは169のターゲット・17のゴールから構成されており、目標達成度別にアイコンの色分けがされています。達成済は緑、未達成のものは黄色、未達成かつ重要課題のものはオレンジ、未達成の主要課題は赤で色分けされています。各国政府による取り組みだけではなく、一人ひとりが取り組んでいくことが重要であると考えられています。
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sdgsが掲げる17の目標とは?
はじめにsdgsが掲げている17の目標について詳しく見てみましょう。
1~6の目標
1~6のゴールは「貧困」「飢餓」「教育」といった社会問題の改善を目指す内容で、開発途上国だけではなく、先進国においても貧困は潜んでいるとして取り組みます。「1.貧困」は場所・形態を問わず、貧困をなくすのが目標です。「2.食農」は飢餓をゼロにしようという取り組みです。農業で食料の供給が安定させ、栄養状態の改善や農業自体の推進も行います。「3.健康福祉」はすべての人が健康に生活するための福祉を推進するもので、必要なときに利用できる環境を整えることが目的です。例として、伝染病の根絶や新生児の死亡率の減少が挙げられます。
「4.教育」は質が高い教育を公平に受けることができる場の提供を目指します。「5.ジェンダー」は性別による差別をなくし、女性や女児などが平等に権利を得る社会の実現を目指すものです。「6.水衛生」は安全な水やトイレを世界各国で使用できる環境整備を行います。2020年時点では、日本における達成状況は1~6のゴールのうち、「5.ジェンダー」のみが緑です。「1.貧困」「3.健康福祉」「「6.水衛生」は黄色、「2.食農」がオレンジ、「4.教育」は赤になっています。
7~12の目標
sdgsの7~12のゴールは持続可能な「経済成長」を世界中で目指すというものです。たとえば、エネルギー・資源の有効活用や働き方改革、不平等の解消などが挙げられます。「7.エネルギー」は誰もが手ごろに、近代的かつ持続可能な信頼できるエネルギーを整備するのが目的です。再生可能エネルギー率の大幅拡大やエネルギー効率の改善などがあります。「8.経済労働」は経済的成長や働きがいがある社会の形成を目指しており、1人あたりの経済成長率アップや同一労働同一賃金などが目標です。
「9.産業インフラ」は、産業と技術革新の基盤を作ることで産業の推進を行うのが目標です。産業の多様化や商品付加価値の創造などがあります。「10.人権平等」は、国内や国家間で格差がない状態を作ることがゴールです。差別的な法律や慣行などの廃止、税・賃金・社会保障などに関する政策の導入などを目指しています。「11.住環境」は持続的に住み続けることができるまちづくりが目標です。自治体と国が協力し、都市と人間の間に安全で強靭な関係を作ることで目標実現を目指しています。「12.生産消費」は「つくる責任つかう責任」という言葉を掲げ、天然資源が持続的に使用できるように管理し、廃棄品の削減をするのが目標です。
2020年、日本では7~12のうち、「9.産業インフラ」のみが緑です。「8.経済労働」「11.住環境」が黄色、「7.エネルギー」「10.人権平等」「12.生産消費」がオレンジになっています。
13~17の目標
sdgsの13~17は「地球環境」「気候変動」など、世界共通で取り組む必要がある問題についての目標になっています。「13.気候変動」は気候変動やその影響に関する対策を取ることです。具体的には、気候変動による自然災害などの危険に対する適応力の強化やそういった対策を各国の政策・計画などに取り入れます。「14.海洋資源」は海の豊かな資源を守ろうという取り組みで、海洋汚染の防止・減少や海洋酸性化を最小限に抑えることが目標です。
「15.陸上資源」は海の豊かさを守ると同時に、陸の資源や生態系も保護・回復しようというものです。また、深刻になりつつある砂漠化問題の阻止も目標のひとつになっています。「16.平和」は平和で公正な社会の実現や司法にアクセスしやすい環境を提供するというものです。虐待や暴力、それが起因となった死亡率の減少などがターゲットになっています。「17.協働」はグローバルパートナーシップを強化し、開発途上国のために追加的資金源を確保することを目指すものです。2020年の日本における13~17までの目標達成は「16.平和」のみで、そのほかはすべて赤という結果になっています。
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個人でできるsdgsの取り組み
これまで国レベル、国際レベルで行う目標について解説してきました。それでは、個人ではどのような取り組みができるのでしょうか。すぐにでもはじめることができるsdgsの取り組みを紹介します。
1~6の目標に対してできる取り組み
1~6の目標に対してできることは、たとえば貧困を対象にしている募金をしたり、子ども食堂に食材を無償提供したりすることが挙げられます。また、食事の栄養バランスがとれた献立にし、安心安全な農作物を育てたり、購入して食べたりするのもひとつの取り組みといえるでしょう。食事は毎日とるものなので、日々の積み重ねが結果につながりやすいです。会社や学校への行き来も、可能であれば徒歩や自転車にするのも良い方法です。これらの行動は排気ガス量の削減になり、自分自身も運動量が増えるので健康保持や改善が期待できます。
さらに、近くに住む高齢者がいれば積極的に話しかける機会を増やし、健康状態を把握することで急病の際にも素早い対策をとることができます。自治体レベルでは地域の課題解決や環境・福祉に関するイベントの開催・家族や友人などと参加することも大事です。また、夫婦で家事の負担を平等にしたり、さまざまな役員決めの際に男女をバランス良く決めたりするなどができます。日本国内では家事や子育て面で女性側の負担が大きい家庭も多いため、できることから男性側も協力しましょう。さらに、料理油をそのまま流さないということもsdgsの取り組みになります。風呂の残り湯はそのまま捨ててしまう人もいますが、洗濯の洗いや庭の水撒きなどに使用すれば節約にもなり、水を大切に使うことも可能です。
7~12の目標に対してできる取り組み
7~12の目標においては、自宅に太陽光発電を導入したり、再生可能エネルギーに出資したりする方法があります。さまざまな可能性を持つベンチャー企業に出資したり、コミュニティビジネスに場所や機材などを貸し出したりするのも、長い目で見れば楽しみながら取り組めるものです。どのような場面でもいじめ・差別を防ぎ、ハンディキャップがある人がいるときには進んで手を差し伸べるなども大切なことだといえるでしょう。
太陽光発電は、近隣が停電になったときも自宅で発電できるので便利です。仕事では残業しない、休暇をきちんととることを徹底します。また、地元商店で地元産の品物を購入することも大切な取り組みのひとつです。地元の品物を購入し、地元経済の発展に協力することができます。外出やショッピングの際にマイバッグやマイボトルを持参し、食材を無駄にしない、環境負荷が少ない製品を購入・使用するというのもすぐにできる取り組みです。また、家の家具に防震対策を行い、万が一に備えて防犯グッズを用意します。地域にもよりますが、日本は自然災害が比較的多い国であり、日常からそういった対策をとっておくことは無駄にはなりません。機会があれば、地域の清掃・防災活動に積極的に参加するようにしましょう。
13~17の目標に対してできる取り組み
気候変動対策としてできることのひとつが節電です。使用していない電化製品はこまめに消すように努力し、省エネを心がけましょう。CO2排出の削減のために徒歩や自転車で通勤・通学をするのもおすすめの取り組みになります。ほかにも、レジ袋ではなく、エコバッグを持参したり、プラスチックストローの使用を控えたりしたうえで、海や川などにゴミを捨てないようにするのも大事です。ファッション面では毛皮や象牙など、野生動物保護に反する製品の購入や使用をしないようにします。
さらに、野生動物の生態系に影響するような行為も避けなければなりません。sdgsの取り組みはさまざまなブランドでも行われており、実際、毛皮を使用した服などは減少しています。平和に関しては国際社会の紛争や平和について関心を持ち、可能であれば被災地の訪問や支援などを行うのが望ましいです。現地訪問が難しい場合も、自身のSNSなどを活用して情報発信し、拡散することもできます。世代間交流や国際交流のイベントが開催していれば、積極的に参加するのも良いでしょう。
sdgsにつながるスマホ処分の方法
日常に必要なアイテムとして老若男女を問わず持っている人が多いスマホ。家庭によっては1人1台使用しているところもあります。スマホには貴金属やレアメタルが使用されている部分もあり、レアメタルは数年後には枯渇するのではといわれているものです。そのため、スマホの回収を行って、再資源化をすることが望ましいといわれています。しかし、日本におけるスマホの回収率はわずか17%程度です。これは、貴重な資源が再利用されることなく、無駄になっている可能性が高いことを示しています。
処分時にゴミとして捨てた場合、焼却や埋め立てで資源の取り出しも不可能です。もし、スマホシュレッダーにかけて回収をする方法を選択すれば、データ漏洩のリスク防止と同時に、貴重なレア資源を再利用することができます。資源の再利用は地球環境に対する負荷を軽減し、エネルギーの無駄遣いを防ぐことにもつながる良策のひとつです。
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身近なできることから始めよう
sdgsの17の目標のなかには、個人でできることも多いです。日常生活であれば購入した食材を無駄にしないようにしたり、排気ガス量の削減を目指して通勤通学時は徒歩や自転車にしたりすることができます。また、スマホを処分する際も専用シュレッダーで破壊すれば個人情報の漏洩を防ぎ、資源の再利用も可能です。目標達成のためにはひとりひとりの行動が重要になるため、まずはできることや感心があることからはじめてみましょう。
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