スマホは燃えないゴミで出してはダメ!正しい処分方法を知ろう

スマホを新しく買い替えた際、古いスマホをどうしていますか。そのまま思い出として取っておく人もいるかもしれませんが、中には燃えないゴミに出して捨ててしまっているという人もいるのではないでしょうか。実はスマホをゴミとして捨ててしまうのは、とてももったいないことです。そこで今回は、古くなったスマホの正しい処分方法について紹介します。

スマホを燃えないゴミで出してはいけない理由

新しい機種に買い替えたからといって、古いスマホを燃えないゴミに出してはいけません。適切に処分すれば、スマホは宝に代わるかもしれませんし、個人情報保護の観点やリサイクル法の観点からもスマホをゴミとして処分するべきではありません。ここでは、スマホを燃えないゴミに出してはいけない理由について解説します。

スマホは希少資源が詰まった宝の山だから

精密機器であるスマホには、さまざまな部品が使われています。しかも、その部品は単なる部品ではなく、地球上の希少な資源が用いられている部品です。たとえば、液晶画面にはインジウムという資源が使われていますし、ICチップには金・銀・銅・スズなどの金属が、また振動モーターはネオジムやジスプロシウムと呼ばれる希少資源で構成されています。

他にも、コンデンサに使われているのがニッケル、パラジウム、タンタル、マンガン、チタン、バリウムなどの資源です。バッテリーにはリチウムやコバルトといった資源が用いられているなど、挙げればきりがないほどの希少な資源が、たった1台のスマホに使われているのです。この中でも、インジウム、ネオジウム、ジスプロシウムなどの資源をレアメタル、レアアースといいます。レアメタルやレアアースは資源の遍在性が顕著であり、日本ではほとんど採取できません。

もし、使わなくなったからといってスマホを燃えないゴミとして捨ててしまうと、これらの希少な資源までゴミとして処理されてしまうことになります。レアメタルやレアアースは特定の地域でしか採取できないだけではなく、そもそも埋蔵量自体が少ない資源だとされています。数年後、数十年後には枯渇してしまう資源だともいわれており、ゴミとして処分してしまうのは希少な資源を無駄にすることにつながるのです。

スマホ内のデータが漏洩する恐れがあるから

スマホを燃えないゴミに捨てることは、個人情報保護の観点からも推奨することはできません。スマホには希少な資源の宝庫だけではなく、貴重な個人情報の宝庫でもあります。スマホをサイフ代わりに使っていれば、銀行やクレジットカードの情報が登録されているでしょうし、カメラ代わりに使っていれば、自分や友人のさまざまなプライベート情報が記録されているでしょう。

もし、スマホを燃えないゴミとして出してしまうと、そうした種々の貴重な情報が漏洩してしまう危険性があります。もちろん、情報漏洩を防ぐために、処分する際にデータを消去したり、初期化したりしてから捨てるという手もあるでしょう。しかし、消去した情報は復元することも可能です。ですから、個人情報の悪用を防ぐ意味でも、スマホを燃えないゴミに捨てるのは避けるべきでしょう。

バッテリーから発火する恐れがあるから

スマホにはリチウムイオン電池というバッテリーが使われています。リチウムイオン電池は、スマホ以外にもさまざまな電子機器に用いられており、正しく利用すればとても便利な電池です。しかし、使い方や処分の仕方を誤ると、発火する恐れがある危険な物でもあります。たとえば、スマホを水に浸したり、強い衝撃を加えたりすると発火する場合がありますが、これはスマホ内部のリチウムイオン電池が外部の圧力によって発火してしまうためです。

もちろん、普通に使用している限り、リチウムイオン電池が突然発火するようなことはまずありませんが、実は長時間放置しただけという場合でも電池が膨張して発火する危険性があります。実際、燃えないゴミとして出されたスマホが、ゴミ回収業者の作業中に発火した事例が多数報告されています。収集車内で発火する事例だけではなく、処分場に到着してから発火するケースも少なくありません。

このように、スマホを燃えないゴミとして処分するのは、安全上の観点からも避ける必要があります。特にスマホは、製品の構造上、ユーザーが内蔵バッテリーを取り外すことができない仕様になっている製品も多いです。その結果、本来は処分前にバッテリーを取り外すべきところを外さずにスマホ本体を燃えないゴミに捨ててしまい、ゴミ処理中の発火事故につながっていると考えられます。

また、スマホやバッテリーが少なくとも燃えるゴミでないことは多くの人が理解していることでしょう。しかし、燃えるゴミではないからといって、必ずしも燃えないゴミというわけではありません。特にスマホにはいろいろな部品が使われているため、そのまま燃えないゴミとして捨ててしまうのは適切な処分方法とはいえないのです。

小型家電リサイクル法の対象品目だから

スマホを燃えないゴミとして捨てるのは、リサイクル法の観点からも適切ではありません。平成25年4月から小型家電リサイクル法という法律が施行されました。この法律は、小型家電に用いられている希少な資源を適切に再利用することを促進するために作られた法律です。この法律が対象としている小型家電は28品目に分類され、そのうちスマホは「デジタルカメラやゲーム機等の使用済小型電子機器等」に含まれる対象品目のひとつです。

ただし、28の対象品目のうち、どれを回収対象とするかは全国で統一されているわけではありません。回収対象となる品目は異なる市町村単位で異なるため、自分が住んでいる市町村のホームページなどで事前の確認が必要です。

スマホの処分方法の選択肢は?

では、使わなくなったスマホをどのように処分すれば良いのでしょうか。もし処分に困っているなら、まずはキャリアショップで回収してもらうことを考えてみましょう。スマホを契約しているドコモ、au、Softbankなどのキャリアショップは、機種変更の際に古いスマホを回収してくれる場合があります。買い替えの際に回収に出すと、キャンペーンなども利用できるのでお得です。キャリアショップに出せば、適切に処分してくれるので個人情報の観点からも安心ですし、処分されたスマホはリサイクルに回されるのでエコでもあります。

持っている古いスマホが人気の機種なら、買い取り専門店に買い取ってもらうのもひとつの方法でしょう。人気の機種は高値で買い取ってもらえる可能性が高いので、使わなくなったスマホをお金に換えたいという場合はお得です。買い取ってもらったスマホは、他の人に有効利用してもらえるので、リサイクルの観点からも理にかなった処分方法です。

ただし、買い取り専門店は店によって査定価格が異なり、場合によって自分の希望の価格で売ることができないこともあります。そんなときは、オークションやフリマアプリで売却してみても良いでしょう。オークションやフリマアプリなら、自分で売りたい価格を設定できるので、買い取り店に売却するより高値で売れる場合もあります。ただし、梱包や発送作業に手間がかかるため、どちらで売ったほうがよりお得かは人によるといえます。

また、希少資源を有効に活用するために、リサイクル対象の小型家電として、自治体の回収を利用してみても良いでしょう。回収されたスマホは、新しいスマホや小型家電の部品として再利用されます。いずれの処分方法を選ぶにしても、単に燃えないゴミに捨ててしまうよりずっとお得なので、自分の好きな方法で適切に処分しましょう。

スマホシュレッダーにかけることの有用性

スマホを処分する際は、個人情報を悪用されないようにデータを消去、または初期化して処分するのが基本です。しかし、データ消去や初期化をしても、内蔵されているメモリの隠し領域にデータが残っている可能性があり、場合によってはデータが復元されてしまうことがあります。そのため、専門店やオークションで売却する際などは多少の不安が残るのも事実です。また、リサイクル用の回収ボックスに入れて処分した場合でも、そこから無断で持ち出されて悪用されてしまうといったケースもないとはいい切れません。

データの悪用を確実に防ぐためには、スマホシュレッダーにかけてデータを物理的に消去してしまうのが最も有効な対策です。スマホシュレッダーとは、スマホをシュレッダーにかけて粉々にして、物理的にデータを復元できない状態にする処分方法のことです。こうすることによって、スマホ内にデータが残っていたとしても、情報を取り出すことは物理的に不可能となります。

スマホデータ消去サービス「ZAURUS(ザウルス)」は、環境省エコ・アクション・ポイントの推進事業であり、環境省が推奨しているスマホデータの消去方法です。1台あたり税込980円支払えば、目の前でスマホをシュレッダーにかけて粉砕してくれます。複数台依頼すれば割引が適用されますし、シュレッダーにかける様子は写真や動画に撮影することもできるので、データがしっかり物理消去されたことを間違いなく確認できます。粉砕後はレアメタルなどの資源が回収されるので、スマホシュレッダーは個人情報の悪用を防ぐだけではなく、環境にも配慮した処分方法です。

スマホの処分は安心安全な形で行おう

スマホは貴重な資源がふんだんに使われている精密機器というだけではなく、個人情報の宝庫でもあります。普通に燃えないゴミとして捨てるのは、環境面や情報保護の観点から得策とはいえず、場合によっては自分自身を危険にさらす行為でもあります。情報漏洩から自分自身を守るためにも、スマホを処分する際は安心安全な形で行うようにしましょう。