循環経済への移行は必要不可欠!多方面から推進が求められる理由とは?

これまでの経済成長においては、世界的に大量生産や大量消費、大量廃棄が中心になっていました。しかし、新しい経済モデルとして「循環経済」が提唱されはじめています。もはや、いらなくなったものを簡単に捨てるだけでは経済が成り立たなくなっているのです。この記事では、循環経済の重要性や具体的な取り組みを解説していきます。

循環経済とはどういうもの?

20世紀末から注目されている「循環経済」とは、製品の再資源化を前提とした経済モデルです。そもそも、これまでの経済モデルでは地球の資源を製品の生産に利用し、最終的にはゴミとして廃棄するのが一般的でした。ここでは生産から廃棄までが一直線なので「直線モデル」と呼ばれています。そして、直線モデルに取って代わろうとしているのが循環経済です。ここでは、生産から廃棄までの各段階が円のように循環し続けていきます。別の呼び方で「サーキュラーエコノミー」とも表現されてきました。

循環型の経済モデルは、環境や社会、ビジネスなどさまざまな方面に大きな影響をもたらすでしょう。循環経済への移行は、特にヨーロッパで盛んです。日本でも循環経済への関心は高まっており、3Rからの移行期にあるといえます。

なぜ循環経済への移行が求められるのか

循環経済が重要なのは「資源の節約」に役立つからです。世界人口は増加傾向にあり、時代とともに限りある資源が貴重になってきています。しかし、実際には国家や企業で資源を奪い合い、枯渇化が加速しています。さらに、一部の国家や企業が資源を独占することで価格も高騰してきました。このまま直線モデルの経済が続けば、資源はすぐに使い果たされてしまうでしょう。

次に、「環境汚染」も無視できない問題です。従来型の経済では、大量生産された製品を雑に処理する場面が目立ちました。その結果として、プラスチックごみの不法投棄による海洋汚染をはじめとする、環境問題が深刻化してきたのです。地球温暖化も進んでおり、環境問題を食い止めることは人類の義務になっています。ヨーロッパではすでに循環経済に関する取り組みをしていて、成果も出ています。2015年にはCEパッケージは、2018年にはプラスチック戦略が施行されています。そして、2020年にはCEアクションプランが発表されました。もはや日本も、世界の潮流を無視できなくなってきたのです。

循環経済への移行において鍵となる動脈産業と関係主体

直線モデルを循環経済に切り替えるためには、動脈産業とその関係主体が肝心です。この場合の関係主体とは、静脈産業、投資家、消費者を意味します。大前提として、循環経済とは環境保護だけのモデルではありません。社会全体の発展を長期的に目指すのが目的です。経済活動の流れを直線から円に変えるために、動脈産業、静脈産業、消費者、投資家の4つがそれぞれの役割をこなしていかなければなりません。

まず、動脈産業とは、自然から採掘した資源で製品の生産を行うことです。次に静脈産業が、動脈産業から生まれた廃棄物や不用品を回収し、経済的に循環させる役目を担います。ここで大切なのは、動脈産業の段階から製品の循環ルートを想定し、回収やリサイクルの方法まで考えておくことです。当然ながら、製品もその前提でデザインされなくてはなりません。動脈産業と静脈産業の支え合いは、循環経済の要となります。そして、消費者には環境負荷の少ない製品を買う意識が求められます。最後に、投資家は目先の利益ではなく、社会的価値で投資先を選ぶことが不可欠です。

日本政府が示した2つの循環経済ビジョン

これまで日本政府は循環経済への切り替えのために、2つのビジョンを提示してきました。この段落では、それらを詳しく説明していきます。

1999年循環経済ビジョン

日本政府は1999年に循環経済ビジョンを発表しています。その背景には、限りある資源を一方的に採掘し続けることへの不安がありました。また、産業廃棄物の最終処分場が埋まってきており、環境問題も深刻化してきた時代でした。社会と環境の両方を考えて、循環経済への移行は重大なテーマになっていたのです。もちろん、それ以前の時代にもリサイクルという概念自体はありました。ただ、1999年以降のビジョンでは、リサイクルにリユース、リデュースも加えた「3R」が経済モデルの柱となっていきます。そのため、1999年循環経済ビジョンは分岐点として無視できません。

これ以降、日本ではリサイクルに関する法整備が進んでいきます、そして、廃棄物の排出量を大幅に減らせるようになりました。深刻化していた、廃棄物処理場の残余年数も改善されています。

循環経済ビジョン2020

2020年にも日本政府は循環経済ビジョンを打ち出しています。ビジョンを更新した理由としては、大量生産、大量消費、大量廃棄が前提となった直線型経済モデルの限界が挙げられます。さらに、デジタル技術の発達によってスマホなどの電子製品にレアメタルがたくさん使われるようになりました。希少なレアメタルを廃棄することは問題であり、リサイクルの重要性がますます高まってきたのです。

政府のテーマが市場重視から環境保護に移ったのも見逃せません。この頃には、「売れるものをたくさん作っていらなくなれば破棄すればいい」という考え方が廃れてきました。それよりも、環境を大切にしながら生産、利用、再利用をサイクル化していくことが世界的な常識になりかわってきたのです。こうした流れを受けて、循環経済ビジョン2020では環境保護に根差した3Rがモデルの一部に組み込まれています。

そして、循環経済が世界標準になった時代ではグローバル市場にも受け入れてもらえる製品開発のノウハウ、ビジネスモデルが必須となりました。すなわち、関係主体がそれぞれ役割を担い、中長期的にサイクルを続けていける社会システムの確立が必要です。

20年間でビジョンが変化した要因

1999~2020年の20年間でビジョンが変化したのは、経済的、社会的な流れに関係しています。たとえば、この20年で世界人口は急増しました。1999年に60億を超えた人口は、2020年時点で75億人以上になっています。特に、アジアやアフリカの増加率はかなり大きくなっています。さらに、経済のグローバル化が促進されて、かつての発展途上国も先進国並みの生活や経済活動を目指すようになりました。こうした時代に合わせ、循環経済のモデルも修正を強いられたのです。

世界中で起こった、資源の奪い合いもビジョンに影響を与えています。一部の資源は安定供給が難しくなり、誤った方法での廃棄で環境を汚染するようにもなりました。一方で、デジタル技術はますます進化し、ビジネスモデルは新しく生まれ変わっています。2020年の循環経済ビジョンには、これらの変化も反映されています。

ビジネスモデルの循環性を高めるには?

循環経済のためのビジネスモデルでは、各段階での工夫が必要です。製品をデザインする段階では、軽量化などのリデュースを前提にしておきます。また、すぐに処分しなくて済むよう、耐久力も重要になるでしょう。リユースやリサイクルのためには、製品を解体しやすくしたりモノマテリアル化したりするのも大事です。

次に、生産段階ではロスを減らして資源を無駄にしないよう工夫します。そして、使用段階では環境に配慮した品を優先的に選ぶことが肝心です。生産者から消費者までが環境を意識することで資源を節約可能です。さらに、経済水準を世界規模で向上させられるので、雇用が増えて豊かな未来へとつなげられるでしょう。

未来のために循環経済への移行を

循環経済を実現させるには、環境だけでなく社会やビジネスでの配慮も重要です。ユーザーの立場で役割を果たすには、不要なスマホや携帯電話を正しく回収してもらうようにしましょう。その際には、内部データの消去も不可欠です。ZAURUSなどの信頼できる専門業者に任せて、安全かつエコロジーな方法でスマホを物理的に破壊してもらうのが得策です。